先日絵を購入した。ペン画家都築琴乃のモノクロの点描画だ。

画面が白黒で構成されているために若干不穏な空気を孕みつつも、私には無垢な暖かさを感じることができる。
これは数年前に行われた都築さんの個展@東京の頃より言及していることだが、都築さんの打つ点の一つ一つは小さいものは髪の毛の断面より塩の粒より砂糖の粒よりも小さい。
点という小さな無数の面が、それぞれの位置を譲り合うように気持ちの良い場所に収まりつつ調和しているため、脳がエラーを起こさない。
点描ってそんな難しいの?と思う方は、是非一度ご自分で点描画を描いてみてほしい。
20年前のことであるが、私も数年ほど点描を描く(あくまでペン画を描く上でのテクニックの一部として部分的に)人間だった。しかし一枚を完成に漕ぎ着けるまでの間、自分でも知らず知らず段々と惰性で打つようになってしまい、ちょこちょこと点が重なって短い線になってしまうのだ。
点描画は精神力を要し完成まで持っていくのがマジのマジで大変なのである。そして平面的に打つだけならまだしも、点の一つひとつを操ることで奥行きや濃淡を表現しているわけで、もはやこれは魔法に近い。
しかも驚くべきことに彼女の点は色を持っている。なんなら匂いも感じる。
わかる人にはわかると思うが、この絵を見ていると見えない百合が段々と鑑賞者の目の前に現れてくるのである。
触れられないのに触れられるというある種の幻のようなものが体験できるのだ。
そしてこれは、ある意味ほとんど全員の絵描き(主語が大きい)が渇望する表現力なのである。当然私も例外ではない。えーん。
そんなわけでウミユリの化石を酒の肴に眺めながら飲めてしまうタイプの人間には当然のごとく都築さんの作品は刺さってしまうのである。

私は基本的に知り合いや知り合いじゃなくても自分が良いと感じたものは共有していくスタイルなので、都内近郊にお住まいの方もそうでない方も是非都築さんの個展を見に行ってほしい。
提灯記事とかではなくガチのマジで個人的にこの記事を書いているし、都築さんの作品を推薦する。
こんな駄文を読むより実物を見てほしい、ほんまに。よろしくお願いします。
そして昨日都築さんの個展初日に伺ってきた。16日(日)までなので是非!今回も安定と納得の不穏感である。そしてそれは私の好きなあたたかさなのだ。
都築琴乃「Inliminal」
みうらじろうギャラリー@5(東京都中央区日本橋)
11/1(土)〜16(日) ※月火休廊
12:00〜19:00

購入した「Lilium」は寝室に飾っている。今夜も百合の香りに包まれながら意識を手放すのだ。いいでしょ?


