こんにちは。Atelier Emeth代表の藤山識です。個人事業主として美術家をしています。
かなり攻めたタイトルになってしまいましたが。今回は少しでも上手な絵を「楽して」描きたい人向けの内容を記事にしてみました。
「上手な絵」って何?
そもそもの話ですが「上手な絵」とはなんでしょうか。クラスに1人2人いたような、絵が上手いと言われる人たちが描いている絵?イラスト?美術館に飾ってあるような絵?上手な絵と一口に言ってもいろいろと種類がありますよね。
個人的な肌感覚で恐縮ですが、こと日本においては細かいところまで観察されていて、尚且つそれが正確に表現された絵が世間一般でよくイメージされる上手な絵、に当たるのかなと思っています。本物に見えるようなリアルな絵、いわゆる写実系の絵ですね。あ、上手い絵と良い絵はきっとイコールではないですよ!(良い絵は鑑賞者によって違います。私の場合は心が動かされる絵ですかね〜)

左はごく簡単な絵ですが、相手にリンゴという情報を伝えるにはこれで十分ですよね。ですが右の絵の方がより実物に近く、こちらの方がより「一般的には上手と言われる絵」なのかなと思います。
左のリンゴの絵と右のリンゴの絵。私が思うに、これらの絵の違いは「情報量」であると考えます。
さて、ここで一度目をつぶりながらリンゴを思い浮かべてみましょう。頭の中でできるだけリアルに。そのリンゴはどんな色をしていますか?形は?そして、それはどのくらいの重さですか?またどのような香り、手触り、温度をしていますか?
人間っていつの間にやら脳の中で情報を簡略化してしまうので、思い浮かべるのにも限界がありますよね。また写真などの平面的なものからは補完できない情報が数多くあります。そういった時はスーパーでリンゴをひとつ買ってきて、それを観察しながらリンゴの情報が鑑賞者に伝わるように考えながら描いてみましょう。(でもリンゴ描くのって結構難しいですよね)

例えば「一般的なキリンという動物を描いてください」と言われた時に、図のような首の短いキリンを描いたりする人はいませんよね?それでは、キリンのまつ毛の色や角の形を何も見ずに正確に描くことはできるでしょうか。何らかの理由でキリンを観察した経験がなければきっと難しいですよね。そういった細かな情報の間違いが積み重なることで絵の説得力は段々と薄れていき、上手い絵から離れていくのではないかと私は考えています。
絵が上手くなるには?
さて、キリンの絵を例にしていわゆる「上手ではない絵」については何となく掴めたでしょうか。つまり上手い絵を描きたいのであれば、そのモチーフを構成する要素を分析・特定し、その情報が相手に伝わるように描き込めば良いのです。モチーフを構成する要となる情報をできるだけ多く見つけ出し、それらを細部に至るまで正確に描けば描くほどに説得力が増し、上手い絵と認識されます。
絵に説得力を持たせるのに一番有効な方法は、観察をし、モチーフの仕組みを理解することです。絵の上達のための基礎練習としてデッサン(素描)は欠かせないとよく言われていますが、極論を言ってしまえば必ずしもデッサンをやる必要はないのです。デッサンをやらなくても絵は上手くなれます。
美大受験ではなぜデッサンをするの?
そもそもデッサンというのは、「モチーフの観察のための作業」に他なりません。リンゴというモチーフを観察して読み取れる情報、例えば色や形、光源による影の落ち方、などなど…それらの情報や仕組みを理解し自身の脳に落とし込むために、鉛筆という画材を用いて紙に描くことで確認しているのです。従って、デッサンとは絵の完成を主眼としたものではなく、観察と理解を行った結果「デッサン画」という成果物が生まれただけなのです。なので、美大受験ではデッサンが上手な人というより、「観察力、分析力、そしてそれを実際に再現する能力の高い受験者」を選別していると言えるわけです。それらはアイデアを形にする表現者としては必要不可欠なものですからね…(私の理解の上での話なので、間違っていたらごめんなさい)
「デッサンをやらなくても絵は上手くなれる」と書いたのはそういう意味合いであったのですが、勿論デッサンを経験した方が観察力・理解力向上のスピードが段違いに速いです。それに一度描いたものは脳に記憶として残るので、前よりももっともっとうまく描けますし、情報を応用すること(例えばガラスのコップに反射した景色を描ければ、ビニール素材のバッグなどもずっとそれらしく描けるようになります)もできるようになります。

初心者あるある、基礎練習としてのデッサンに疲れてしまった場合…そんな時は以上のことを思い出しながら目だけでの観察と分析を続けましょう。対象(モチーフ)は何でも構いません!

先ほど例に出したリンゴであれば、このリンゴは本当に丸いのだろうか、なぜそちらとこちらの部分では同じ赤色なのに微妙に違う赤色なのか、リンゴの位置を奥から手前に変えた時に影の落ち方はどう変わるのか、などなど…今までぼんやりとしか得ていなかった情報を疑いつつ、論理的に考えることで今までは見えていなかったものがきっと見つかるはずですよ!
絵はある種の情報戦であり「一般的に言われる上手い絵」を描くために「生まれ持ったセンス」は必要ないと私は考えています。後は1枚描き終えたら上手くできなかったところを分析して、次回はより良いものを描く!というのを繰り返すことでどんどん上達していきます。どうせやるなら賢く最短ルートで上達しましょう!
もちろん一番大切なのは「楽しく描くこと」なんですけどね。
このブログを読み終わった後に、皆様から見えていた景色がいつもと違ったものに見えますように!
宣伝
さて、ここからは宣伝です笑
美術家の藤山識が代表を務めるAtelier Emeth(アトリエ エメト)のデジタルアート教室では今回取り上げた内容のような、絵の上達に役立つさらに細かい情報やテクニックを受講者の方にマンツーマンでお教えしています。単発形式、入会費や年会費なども必要ありません!
オンライン(Discordの画面共有機能を利用します)でも受講可能なので、もしこのブログを読んでご興味を持たれた方は以下のLESSONページをご覧ください。

皆様のお申し込みを心よりお待ち申し上げます。